2006年5月の日本聖公会第56(定期)総会決議第21号「セクシャル・ハラスメント防止機関ならびに相談窓口設置のモデルを策定する件」を受けこれまで、北海道教区は主に教区常置委員会の協議を通してハラスメント防止機関の誕生に向けて取り組んできました。2008年11月24日開催された第67(定期)教区会に「北海道教区ハラスメント防止に関する諸規定の承認を求める件」を議案として提出し承認されました。承認された議案の内容は「日本聖公会北海道教区ハラスメント防止宣言」を始めとするハラスメント防止に関する三つの規程(1)日本聖公会北海道教区ハラスメント防止委員会規程(2)日本聖公会北海道教区ハラスメント相談窓口規程(3)日本聖公会北海道教区ハラスメント調査委員会規程。「日本聖公会北海道教区ハラスメント防止宣言」、ハラスメント防止に関する基本理念、ハラスメントの定義、および、防止機関と救済のための手続き等について、第67(定期)教区会に提出された議案書より転記、また、その一部に加筆して掲載します。
1.ハラスメント防止に関する基本理念
ハラスメントは個人の尊厳を傷つけ、人権を侵害する行為であり、身体的、性的、心理的暴力です。しかし、現実に人権の侵害があっても、私たちは自らと関りがないと、起こっていることに気づくことができなかったり、見過ごしてしまったり、また事実を誤って認識することによって被害を小さく見積もったり、被害者に責任を転嫁してしまうことがあります。その結果、被害者は被害を受けているにもかかわらず、周囲に状況を理解してもらえないことで一層傷つき、沈黙してしまう、あるいは「拒否できなかった自分が悪かった」と自らを責め、「自分はそんなことをされても仕方のない人間なのかも知れない」と感じてしまうこともあります。また、私たちが被害を認めようとしないために、時間の経過の中で被害が拡大し、新たな人権侵害を発生してしまうということもあります。私たちは、聖書の教えている人間理解に立つならば、塵によって造られた人間が神の息を与えられたものとして、すべての人に神からの命が分かち与えられているのであり、その存在の尊厳は生まれながらに尊ばれ、誰一人として阻害(疎外)されたり、物のように扱われたり、自分の意思に反した行動を強要されることがあってはならないと考えます。私たちは、一人ひとりがかけがえの無い存在であるという前提に立って、すべての人の人権が尊重され、守られるために、ハラスメントは許さないということを宣言し、教区にハラスメント防止委員会を設置します。防止のための取り組みを行うとともに、起こってしまった被害については事実を確認した上で、被害者の痛みを放置したり、二次被害を起こすことがないように取り組んでいきます。また教会においてハラスメントが生み出される土壌について検証し続け、再発の防止に努めます。